文部科学省主導の大学DX|未来の教育を見据えた取り組み

文部科学省主導の大学DX|未来の教育を見据えた取り組み

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現在多くの業界で、デジタル化の波によって急速に変化が進んでおり、それは教育分野も例外ではありません。DX(デジタルトランスフォーメーション)化は、情報技術を活用して教育システムを変革し、より効率的で柔軟性の高い学習体験を提供することを可能にします。これにより、学生1人ひとりのニーズにあったカスタマイズされた教育が可能になり、学習の質を大幅に向上させることができます。

このような変革の中心に立つのが、日本の文部科学省です。文部科学省は、教育政策の策定と実施において重要な役割を担い、日本の学校教育、高等教育、科学技術政策の推進を行っています。文部科学省は、大学のカリキュラム、教育方法、研究活動にデジタル技術を組み込むことで、未来に向けた教育レベルの向上を目指しています。

本記事では、文部科学省が実施した大学教育のDXに焦点をあて、これらが日本の教育システムにどのような影響を与えているのか、今後の教育の可能性にどのように貢献していくのかを探っていきます。

DXの基本的な概念

DXは、デジタルトランスフォーメーション、デジタル変革を指す言葉で、情報技術を活用して組織の業務やサービスを根本から変革する概念です。教育分野におけるDXは、従来の教育モデルをデジタル技術によって再定義し、より効果的かつ柔軟な学習環境を創出することを目指しています。例として、オンライン教育プラットフォームの導入、デジタル教材の利用、AIを活用した個別学習支援などが挙げられ、これらのデジタルシステムは高度化していく現代の大学教育に不可欠です。特に、新型コロナウイルス感染症拡大をきっかけとしたリモート学習の普及は、DX化を急速に促進させました。これらの技術は、学習者にとっての利便性を高め、学習の質を向上させることが期待されています。

文部科学省の役割と重要性

文部科学省(文科省)は、日本の教育政策の策定と実施を担う中心的な政府機関として、教育システムのデジタル化を推進する重要な役割を果たしています。これには、デジタル技術を活用した教育プログラムの開発、教育機関への技術導入支援、教員のデジタルスキル向上を目的とした研修などが含まれます。

文部科学省は、DXを通じて教育の機会均等を実現し、地域や背景を問わずすべての学習者に質の高い教育を提供することを目標としています。この取り組みは、教育の未来を形作る上で不可欠であり、日本の教育システムを国際的な水準に引き上げるためのカギとなります。

現行プロジェクト|大学教育のデジタライゼーション・イニシアティブ

画像引用元:Scheem-D公式サイト

文部科学省が推進する「大学教育のデジタライゼーション・イニシアティブ」である、「Scheem-D(スキーム・ディー)」は、大学(短期大学や高等専門学校を含む)における教育のデジタル化を推進する取り組みです。本事業では、特に授業の質を高めることに焦点をあて、教育現場でデジタル技術を効果的に活用し、大学教員とデジタル技術者(スタートアップや大企業の専門家)の協力のもと、革新的で特色ある教育プログラムを開発、実践しています。また、試行錯誤を重ねながら、学修者本位の教育を目指し、サイバー空間と現実空間を組み合わせて、授業の価値を最大限に引き出すことを目標としています。Scheem-Dは、大学教育のデジタル化を通して、より豊かで効果的な学びの場を創出することを目指しています。

Scheem-Dの役割

現在の大学教育には、学習のために資源を集約させ、学びを最大化する「学修者本位の大学教育(Student-centered Education)」への転換や、デジタル技術により新たな利益や価値を生み出す「デジタライゼーション(Digitalization)」の学習への寄与、サイバーとフィジカルを上手に組み合わせた教育の具体化といった多くの課題があります。

それに対して、Scheem-Dではデジタル技術を効果的に活用し、高い学修成果の達成自発的な学び・気づきの効果的な誘導現場実習・実験に近い経験の機会確保など、授業の価値を最大化する機運を醸成しました。そして、全国にこの取り組みを浸透させています。デジタル技術を用いて大学の授業価値を最大化することにチャレンジしたい「アクター(学生、教員、経営者、社員など)」が、公開されている「ピッチイベント(簡潔でわかりやすいプレゼン)」でアイデアを提案し、そのアイデアに賛同した人が「マッチング」し、実際の授業で「仮説検証」を行うことで、その効果の情報を発信し、国全体の知見として蓄積していきます。

大学教育におけるScheem-Dの影響

この結果、デジタル技術を用いて大学の授業価値を高める機運を醸成し、授業にスポットライトをあて、教育に力を入れる大学教員を奨励し、大学教育に関心を持った大学職員、学生、企業などの取り組みを促進することが実現しています。また、この取り組みは、新たな教育システムの開発・展開に向けて取り組むアントレプレナー・イントラプレナーの創出や、アイデアの実現に向けて投資家を呼び込み、社会全体で学生を育てるエコシステムの構築など、社会的に大きな影響を与えています。好事例は海外にも展開し、ハイクオリティな日本の大学教育を世界に発信することができています。

文部科学省が実施した大学DXの取り組み

デジタルを活用した大学・高専教育高度化プラン

文部科学省は、 令和3年(2021年)の1月15日から2月1日の期間に「デジタルを活用した大学・高専教育高度化プラン」を公募し、各大学などから252件の申請を受け付け、審査後54件の事業を選定しました。この事業は、「大学・高等専門学校においてデジタル技術を積極的に取り入れ、『学修者本位の教育の実現』と『学びの質の向上』に資するための取組における環境を整備し、ポストコロナ時代の高等教育における教育手法を具体化し、その成果の普及を図ること」を目的としています。「学修者本位の教育の実現」の取り組みには、学修管理システムの導入による個人に最適化された教育の実現など、「学びの質の向上」の例には、VRシステムを用いた実験・実習および遠隔授業の実現などが挙げられます。

九州大学は、「九州大学『教育DX』推進事業~先端ICT活用による学びの質の向上」として、ラーニングアナリティクス(※1)の事業が採択されました。2021年にはラーニングアナリティクスセンターが設置され、全国にLA教育分野の研究成果や取り組みを広げる活動を行っています。NTT西日本と協力し、2022年4月には、広島市立大学でLAのトライアルを実施しています。

(※1)ラーニングアナリティクス:データの分析にもとづいて、より効果的な教育・学習を実現することを目的とした新しい学問分野で、情報学、情報科学、教育工学、教育学、学習科学などから構成される学際領域研究。

参考サイト:
九州大学「ラーニングアナリティクスセンター
関連リンク:
【2024年版】大学DX化取り組み実態調査レポート|九州大学のデジタル化事例紹介

デジタルと専門分野の掛け合わせによる産業DXをけん引する高度専門人材育成事業

多くの産業分野においてデジタル化による環境変化が進み、専門分野の知識・技能と世界標準のデジタルマインド・スキルを備えた人材育成が急務となっています。「デジタルと専門分野の掛け合わせによる産業DXをけん引する高度専門人材育成事業」は、デジタル社会への環境変化に対応できる資質や能力を涵養するために、DX教育設備を活用した教育カリキュラムの開発や実験・実習の高度化を推進し、デジタルと専門分野の教育を進めることで、日本の産業のデジタル化・高付加価値化をけん引する高度専門人材育成の加速を目的としています。

本事業では、大学などでDX設備の教育環境を整備することによって、専門分野においてデジタル技術・データ分析を実践する実験・実習カリキュラムを高度化し、DX人材の育成を図る取り組みを実施しました。令和3年(2021年)12月24日から令和4年(2022年)1月26日まで公募が行われ、99件のうち39件の事業が採択されました。

新潟大学は、土地の強みと特色を活かした「フィールドを舞台に農業DXをけん引する高度農業人材育成プログラム」が選ばれ、デジタル技術と専門知識の融合を通して、将来の日本の産業DXをリードする人材育成に注力しています。このプログラムは、フィールドを舞台とした実験・実習科目の開発やその高度化を通じて、高度農業人材を育成することを目的としています。

参考サイト:
新潟大学 農学部附属フィールド科学教育研究センター
参考記事:
新潟大学「フィールドを舞台に農業DXをけん引する高度農業人材育成プログラム報告会―DXを通じて地域の課題解決を共創する―
関連リンク:
【2024年版】大学DX化取り組み実態調査レポート|新潟大学のデジタル化事例紹介

大学教育の未来|デジタル化による変革とその展望

文部科学省の取り組みにより、大学教育の未来はデジタル化によって大きく変革されることが期待されています。例として、オンライン学習プラットフォームの普及、バーチャルリアリティや拡張現実を用いた相互的な学習体験、AIによる個別化された学習サポートなどが挙げられます。

これらの革新は、学生にとっての学習の質と効率を向上させるだけでなく、学習の機会を拡大します。特に、リモート学習の普及は、地理的な制約による不利を減少させ、多様な背景を持つ学生に対しても高品質な教育を提供する機会を増やしています。これにより文部科学省は、今後も、より公平な教育環境を創造し、日本の大学教育を新しい時代へと導いていくと予測されます。

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画像引用元:RESERVA公式サイト

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まとめ

今回は、文部科学省が実施した大学DXの取り組みについて解説しました。DXは、教育のあり方を根本から変える可能性を秘めており、文部科学省はこの変革を実現する中心となります。今後、文部科学省は、教育システムのさらなるデジタル化を推進し、大学教育の未来を形成していくことが期待されます。RESERVA.acでは、大学のDX化に関する記事を今後も取り上げていきます。

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