大学の演習室は、通常の講義以外にもゼミやワークショップなど多くの用途で使用されています。そのため、演習室はさまざまな学習体制への対応が求められ、多くの機能を備えている必要があります。演習室の機能性を向上させる教育環境の整備に有効な取り組みが、DX:Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の推進です。
本記事では、大学の演習室のDX化を推進する方法について、詳しく解説します。
DXとは
DXは、デジタル技術を活用して組織の運営やサービスを根本から変革する取り組みです。DXのプロセスでは、古い手法やシステムを見直し、最新のデジタル技術を活用して業務の効率化や利便性の向上を目指します。近年、DXはさまざまな業界で推進されており、教育機関においても講義や研究、運営など、多様な場面で活用されています。
大学におけるDX化の重要性
急速なデジタル化の流れによって、大学などの高等教育機関に求められる役割も変化しており、学内環境の整備や外部のステークホルダーとの連携を円滑化するデジタル環境作りなどが求められています。こうした背景から、文部科学省(文科省)も「大学教育のデジタライゼーション・イニシアティブ(Scheem-D)」などのDX推進プロジェクトを遂行しており、近年では、多くの大学がデジタル化を進めています。DX化の取り組みは、大学や学内の施設ごとに違い、例えば、AIによる授業選択の提案や関連する講義・ワークショップのオンライン開催など、多種多様です。
大学の演習室は、通常の講義室や教室などでは実施できない学習環境を提供する場です。演習室は多様な学習スタイルに対応する必要があり、DX化を推進することで、教育環境の向上が図れます。
演習室のDX化を進める際の手順
ここでは演習室のDX化を進める手順を具体的に紹介します。
①課題発見と目的の明確化
まず最初に、DXで解決するべき演習室の課題を洗い出して一通りリストアップします。大学の運営者や教職員、学生のそれぞれの視点が必要なため、アンケート調査やインタビュー調査などによる情報収集が大切です。また、DXに活用できるリソースは限られているため、課題に優先順位を付けることが求められます。
その上で、演習室にかかるコストの削減や教育の質の向上、研究の促進などの課題解決策をDXの目的として掲げることで、DXを推進していく基盤となります。また、DX化の取り組みについて教職員や学生に情報発信し、目的意識を大学全体で共有することも重要です。
②具体的なDX施策の考案
優先して取り組むべき課題やDXの目的が明らかになったら、具体的なDX施策を考案します。課題や目的によって導入すべきデジタル技術は異なり、それぞれ運用方法も違うため、判別が困難です。同じ課題を抱えている他の大学の対応方法を参考にすることで、具体的なDX施策の考案につなげられます。
いくつかのDX施策を考案したら、その施策をリストアップしていき、できるだけ広く課題を解決することが可能な候補を選びます。実施する施策を選ぶ際には、導入に必要な時間や費用も加味することが大切です。
③DX推進体制の構築と組織化
推進するDX施策に応じて適切な体制を構築するのが次のステップです。DX化の体制整備ができていない場合は、システム管理やデータベース管理などを担当する人材採用から始める必要があります。外部委託によって推進体制を構築することも可能なため、状況に応じて円滑に進められる方法を選びます。DX施策の進捗管理や評価機能も含めて、組織化して合理的に推進できるようにすることが大切です。
④計画の策定・DXの推進
DX推進体制が整ったら計画を立てて取り組みを開始します。予算を策定して、いつ何をスタートさせるのかを計画し、滞りなくDX化を進めることが大切です。
DXによって得られた効果は定期的に確認して評価し、課題点を洗い出して新たに施策に取り入れていきます。計画の変更があり得ることも加味して、柔軟に対応できるようにDX計画を策定するのが重要です。3年~5年程度の計画を立てた上で、四半期〜半年に一度、確認するタイミングを定めることで円滑にDX化を進められます。
演習室のDX化事例
他大学が行っている演習室のDX施策を参考にすることで、具体的なDX施策の策定につなげられます。
金沢大学
金沢大学は、2部屋ある演習室のうち、一室を撮影やデジタルコンテンツの作成ができる「xRスタジオ」に改装しました。xRスタジオは、リアルタイムVFXシステムのVizrt(ビズアールティー)やUnity・Unreal Engine(ユニティ・アンリアルエンジン)が導入されており、3Dオブジェクトを利用した撮影や配信を可能にしています。
関西外国語大学
関西外国語大学は、2023年に大型LEDビジョンやボディートラッキングアバターシステムなどを備えたVR演習室を新設しました。演習室は「ラウンジ」と「スタジオ」に分かれており、授業の受講や海外スピーカーの講演の清聴、学校課題への取り組み、デジタル技術の研鑽など、さまざまな使用用途が存在します。
東京大学
東京大学は、浅野情報基盤センター(本郷)演習室の予約受付で、予約フォームを設置しています。予約案内ページでは、演習室の予約可能日時がカレンダー形式で表示されるため、利用者は迅速に希望の日時の予約が可能です。そのため、この演習室では、学生が円滑に演習室を利用するために予約フォームが重要な役割を担っています。
演習室予約にはRESERVA
はじめてDXを導入する人も、DX導入経験のある人にも、おすすめできる予約システムとして、RESERVA(レゼルバ)を紹介します。
RESERVAは、28万社以上が利用する業界トップクラスの予約管理システムです。350以上の業種に対応しており、国公立大学、私立大学など多くの現場でも広く導入されています。このシステムの特徴は、無料プランから始められる手軽さにあります。また、サービス提供(スタッフあり・なし)、施設、宿泊施設、スクール・アクティビティ、イベント・セミナーといった6つの予約タイプに対応し、大学のあらゆる場面に最適な形で利用できます。
RESERVAは他のサービスとの連携が充実しており、ZoomやGoogleカレンダー、スマートロックといった外部システムとかんたんに連携できます。これにより、導入の初期段階での抵抗感が少なくなります。RESERVAは予約の失念を防ぐリマインドメールの送信や、オンラインカード決済機能も備えており、無断キャンセルや当日キャンセルを減らします。
予約システムの導入におすすめのRESERVAの詳細はこちらをご覧ください。
まとめ
本記事では、演習室におけるDXを推進する方法を、具体的な事例を交えて詳しく解説しました。大学DXの最初の取り組みとしては、予約システムの導入が有用であり、大学の業務効率化だけでなく、学生の利便性向上にも効果的です。
RESERVA.acでは、大学のDX化に関する記事を今後も取り上げていきます。