現在、新型コロナウイルスのワクチン接種が一般向けに順次拡大しています。しかし、日本における接種状況は1回目の接種率が16.4%(2021年6月19日時点)とあまり芳しくありません。そこで日本政府は、接種の加速化を図っていくために、職域単位でワクチンの接種を行う「職域接種」の実施を決定しました。2021年6月8日から職域接種の申請受付は始まっており、受付初日には500を超える企業・大学が申請を行ったことが報道されました。
本記事では、職域接種や職域接種に向けた大手企業や地方自治体、大学の取り組みについて詳しく解説します。
職域接種とは
「職域接種」とは、国主導で行われる、企業や大学などの「職域」単位でワクチンの接種を行うものです。ワクチン接種に関する地域の負担を軽減し、接種の加速化を図る狙いがあります。職域接種の申請受付は2021年6月8日に開始されました。申請が受理されワクチン接種の準備ができ次第、各企業・大学において職域接種を開始できます。国は、医療機関コード申請などの業務代行・補助や、冷凍庫やワクチンなどのワクチン接種に必要な物品の配送など、職域接種会場が行う業務をサポートします。職域接種にかかる費用は予防接種法に基づき支給されますが、企業が自ら請求しなければならず、後日の入金となることに注意しましょう。
職域接種に向けた大手企業の取り組み
ソフトバンクグループ
ソフトバンクグループは、2021年6月15日より職域接種を開始しました。職域接種の対象者は、ソフトバンクグループ株式会社、ソフトバンク株式会社およびグループ会社の従業員とその同居家族の他、ソフトバンクショップやワイモバイルショップ、コールセンターに勤務するスタッフの約15万人です。さらに、接種会場の近隣住民の少なくとも10万人も接種対象となり、グループ関係者と合わせて25万人規模の接種が実施されます。まずは東京都港区で実施され、今後都内の他の拠点や、福岡PayPayドームなどのその他の地域にも接種会場を設ける予定です。
ソフトバンクグループでは、ワクチン接種や移動にかかる時間は勤務時間として扱われます。加えて、ワクチンの副反応により休養が必要な場合や、家族のワクチン接種に当たり付き添いや副反応により看病が必要な場合には、最大2日間の特別有給休暇「新型コロナワクチン接種後副反応休暇」を付与するなど、安心してワクチンを接種する環境づくりが行われています。
楽天グループ・楽天メディカルジャパン
楽天グループは2021年6月21日を目途に準備が整い次第順次、ワクチンの職域接種を開始します。まずは東京・二子玉川の楽天本社オフィス「楽天クリムゾンハウス」にて実施し、地方支社においても接種会場を順次設ける予定です。職域接種の対象は、日本国内における楽天のグループ会社と楽天メディカルジャパンの従業員(各間接雇用含む)、およびその家族です。また今後、関係各所の条件が整えば、近隣住民を対象としたワクチン接種機会の無償提供も検討する予定です。
楽天グループでは、「職域接種」に関わらず、6月1日からワクチン接種時の特別休暇を設けています。本人のワクチン接種に際して、接種1回目は1日(接種日)、接種2回目は2日(接種日および翌日)の特別休暇取得が可能です。また、家族のワクチン接種に際して、付き添いや接種後の副反応の看病などが必要な場合も同様に特別休暇の取得を可能としています。
全日本空輸
全日空は2021年6月13日より、職域接種を開始しました。国際線の運航に関わるパイロットと客室乗務員の約1万人から接種を開始し、国際線の接客業務に関わる地上職などに順次拡大する予定です。今後は接種会場も増やし、乗務員の優先接種で社員の安全を確保し、水際対策にもつなげたい考えです。当初は6月21日の開始を目指していたが、ワクチンなどの準備が整ったため、接種の開始を早めました。
また、日本航空も当初は21日に開始予定でしたが、接種の準備が完了したため、1週間前倒しして6月14日に職域接種を開始しました。
神戸製鋼
神戸製鋼は、新型コロナウイルスワクチンの集団接種会場として、加古川製鉄所(兵庫県加古川市)の体育館を提供します。加古川市からの要請に応じて2021年7月5日から提供を始め、終了時期は同市と協議する予定です。原則として毎週土曜と日曜に使用され、産業医の派遣は予定していません。
三菱地所
三菱地所は、名古屋駅前に所有する大名古屋ビルヂングにて、合同での職域接種を行うことを発表しました。対象者は約6000人で、同ビルに入居する企業・店舗など約200事業所の従業員、警備・清掃などの運営スタッフが含まれます。同ビルに入居する医療機関と連携し、2021年7月上旬から9月上旬の期間で実施される予定です。ビル内の集団免疫を高め、ビルの利用者にも安心安全な環境を提供することが期待されています。
地方自治体・大学の取り組み
徳島県
徳島県は2021年6月11日、複数の企業などによるワクチンの合同接種についても選択肢として考えてもらうため、県内の企業の担当者らを対象に徳島市内で職域接種の説明会を開催しました。説明会には、26の企業や商工団体、業界団体が参加し、説明会の翌日の6月12日には日亜化学工業や阿波銀行などが職域接種を行う方針を示しました。
医学部や看護学部、看護学科を抱える徳島大、四国大、徳島文理大は、学内の医師や看護師らを打ち手としてキャンパス内での実施を計画しています。一方、医療系の学部がない鳴門教育大は、職域接種の実施に向けて徳島大との連携を協議中です。
三重県伊賀市
三重県伊賀市の上野商工会議所と伊賀市商工会は2021年6月9日、安定した地域経済の維持に向け、伊賀地域での集団接種会場の設置や、複数の事業所が合同で職域接種を実施する際の支援などを、伊賀市に要望しました。商工会に属する中小規模の事業所では、単独での職域接種の開催は事務手続きや会場運営などの面で負担が大きくなり、実施が難しいとの声が上がりました。そのため、市が商工会と協力し、合同での職域接種を実現するための支援が求められています。
福岡県福岡市
福岡市は、福岡地域戦略推進協議会と協力し、産学官が連携して職域接種を推進するという特徴的な取り組みを全国の市町村で初めて行っています。これまでの集団接種で培ったノウハウの提供や、職域接種を希望する企業と会場・医療従事者の提供事業者のマッチングを行う推進担当者を配置するなど、福岡市における職域接種をサポートします。
広島大学
広島大学は、東広島市と共同で広島大学の学生、教職員を対象としたワクチンの大規模接種を大学では最速となる2021年6月21日から開始しました。東広島市は会場の設営や受付を担当し、大学からは医師、歯科医師、看護師、薬剤師などを毎日約20人を派遣して、問診・接種・経過観察やワクチン管理を行います。東広島市の人口の約1割を占める広島大学の接種により、市のワクチン接種を大幅に前進させる計画です。
神戸大学・神戸女子大学など
神戸大学や神戸女子大学などは、産官学18者の連携による新型コロナワクチン大規模接種、通称「神戸モデル」の運営に参画しています。この大規模接種では、神戸市や楽天ヴィッセル神戸株式会社などが協力し、ノエビアスタジアム神戸を会場として1日7000回以上のワクチン接種を目指します。この連携では、接種規模および接種対象者の拡大を見据え、2021年6月14日より新たな取り組みを行っています。具体的には、スタジアムのピッチサイドの散策や撮影ができる企画「ピッチサイドウォーク」や、小さなお子様同伴でも安心して接種を受けていただけるよう保育士が常駐するキッズスペースの設置などが行われています。
藍野大学
藍野大学は、同校の学生及び教員への職域接種を行うとともに、滋賀県および滋賀県野洲市のワクチン接種への医師を派遣します。2021年7月上旬を目途に野洲市への医師の派遣を開始し、7月中旬には県北部への派遣を予定しています。さらに、藍野病院と連携することにより、地域自治体の医療負担の軽減や接種率向上を目指します。
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まとめ|関連記事・参考
今回は、職域接種の解説と大手企業や地方自治体、そして大学の取り組みについて紹介しました。地方自治体や企業・大学が協力することで従業員や関係者だけではなく、近隣の住民もワクチンを接種できる可能性があります。ワクチン接種に予約システムを導入すると、効率的に運営が行えるため、さらに日本のワクチン接種を加速させることができます。
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