高大連携のDX化|制約を解消し主体的な授業を創るデジタル技術とは

高大連携のDX化|制約を解消し主体的な授業を創るデジタル技術とは

教育界のDX(デジタル・トランスフォーメーション)は、高校と大学の連携(高大連携)においても不可欠です。しかし、多くの高大連携プロジェクトでは、デジタル化やDX学習が遅れています。高大連携のDX化は、物理的な問題の排除や情報共有の迅速化、進学指導の効率化を図り、高校生の高大連携による学習体験の充実に寄与します。

大学はDXを通じて、高校と大学、情報を連携し、高校生に対して高度な進学支援を提供することで、教育の質を高められます。さらに、オンラインツールを活用した双方向型の授業は、物理的な距離や金銭面の制約を超えた連携を可能にし、どこにいる学生でもアクセス可能な支援を提供します。

本記事では、高大連携(高大接続)におけるDXの現状と課題、デジタル技術が提供する解決策、さらにDX化を進めるための具体的な事例について詳しく解説していきます。連携をデジタル化することで、新しい授業の形を模索するための重要な一歩を探ります。

大学における高大連携の現状と課題

高大連携の現状

高大連携により、高校生が大学の専門的な講義やセミナーに参加できるようになり、興味関心を深められ、積極的な学びの姿勢を養うことができます。さらに、大学の設備や研究施設を利用した授業では、理論だけでなく実践的な知識を身につけることが可能です。加えて、大学の教授や研究者など高校生活では出会えない知識人からのアドバイスを受けられるチャンスがあるため、今までにはない新たな視点を見つけられます。

また、高大連携プログラムに参加することで、自分の興味や関心に合った分野を見つけやすくなります。自分の適性を早い段階から理解することで、進学や将来のミスマッチを減らすことが可能です。高校で提供されない学問領域に早いうちから触れることで、適切な進路の選択につながります。

高大連携における課題

高大連携には多くのメリットがありますが、解決すべき課題も存在しています。

まず、物理的な距離の問題があります。地方や遠隔地に住む高校生は、地理的な制約により、高大連携の恩恵を受ける機会が不均等です。また、参加できる場合でも、遠方からの参加は金銭面の負担が大きく、容易ではありません。

次に、デジタルツールの利用格差が挙げられます。デジタルインフラやリテラシーの違いにより、すべての高校生がデジタル学習リソースを平等に活用できているわけではありません。特に設備の整っていない高校では、オンライン講義やデジタル教材へのアクセスが困難です。

高大連携がもたらすメリット

大学側

大学が高大連携を行うメリットの一つは、高校や高校生との交流を通じて、高校教育の現状を把握できる点です。大学は高校教育を終えた生徒を受け入れるため、学習状況を正しく理解することは、大学での教育を効果的に行う上で重要です。

また、高大連携は、大学が高校生に自校をアピールする絶好の機会でもあります。直接交流を通じて、大学の特色や学習環境、学びのメリットを高校生に伝えることで、彼らに大学生活への具体的なイメージを持ってもらえます。これにより、大学は優秀な学生獲得においても有利です。

高校側

高大連携は、高校生にとって大学の学びを体験できる数少ない機会です。これにより、高校生は大学での学びにおいて重要な能動的な勉強への理解を深めることができ、高校と大学の学習スタイルにおけるギャップの縮小が可能です。また、大学の講義は専門性が高いため、視野を広くもてるようになり、将来の進路選択の幅が広がります。高大連携による授業は早い段階から進路について考えるきっかけとなり、将来の方向性を決めやすくなります。

高大連携のDX化可能領域

予約システムにより受講を効率化

一般的に高大連携で行われる授業を履修するには、申し込みをしなくてはなりません。紙やメール、電話で申し込むことは、受講を希望している学生にとっても、授業を主催する大学や間を取り持つ高校にとっても手間がかかります。

DX化を進め、高校生が大学の連携授業に参加する際、オンラインで簡単に予約を行えるシステムを導入することで、生徒は授業の時間、場所、担当教授などの情報をシステム上で確認し、個別のカレンダーに追加可能です。また、授業の前にリマインダー通知が送られてくるため、忘れずに参加できます。大学側も予約者に合わせた授業準備が可能になり、参加者に合わせた授業を行えます。

授業のオンライン化

高大連携授業の中には、実際に大学の研究施設や実験室などで開催する場合もありますが、物理的にアクセスできない高校生も存在します。そこで、デジタル空間プラットフォーム上で模擬実験を行えるバーチャルラボラトリーを作成し、リモートで実験や研究体験を行うことで、制約から解放された優秀な人材をより多く集めることができます。

また遠隔実験や遠隔授業では、授業をしながらリアルタイムでやり取りすることで、生徒の意見を反映させた授業が可能です。授業内にアンケート方式で得た生徒の考えをデータ化し、生徒が主体的に受けることができる授業を作れます。

ポートフォリオ作成による成果の蓄積

ポートフォリオがあることで、高校生が高大連携プログラムで得た成果やスキルを蓄積し、入学する大学や就職する企業にプレゼンテーションできます。大学側はポートフォリオで学生の学習進捗と成果を一元的に管理し、継続的なスキルアップのための効率的な支援が可能です。

事例の紹介

筑波大学

画像引用元:筑波大学高大連携

筑波大学では、高大連携で高校生は大学レベルの教育機会を提供することはもちろん、将来を支える高校生の目線で多彩な情報を提示し人材育成へも貢献しています。授業は多岐にわたり、大学にあるすべての学科、専攻において連携授業が開催されています。

実際に行われているDX化の取り組みとして、筑波大学では、オンラインでの高大連携授業を行っています。オンライン開催により、移動が不要になるため、全国各地の高校生が参加できます。また、最新のデジタルツールを通じて、高校生は大学レベルの学びや研究に早期の段階で触れられるため、進学後の適応力を高められます。これにより、教育機会の拡大と学習意欲の向上が期待されます。

佐賀大学

佐賀大学では、継続・育成型高大連携カリキュラム「とびらプロジェクト」の中で、将来教師になりたいと考える学生に向けて、高校・大学の計7年間で未来の教師を育む「教師へのとびら」を展開しています。このカリキュラムでは、現役教師の講演や大学の講義、大学生との交流などが行われ、継続的な参加により、教師という職業への深い理解や、自己分析を通じた目指すべき教師像を見つけられます。

対面の開催が難しくなった新型コロナウイルス蔓延期から、オンラインミーティングサイトCISCO社Webex(ウェベックス)を導入した、対面と遠隔のハイブリッド体制で実施し、物理的ハードルを下げ、参加したいと考えている学生がいつでも大学と繋がれる環境づくりを行っています。Webexを使ったハイブリッド授業は、多様な学習スタイルに対応できる柔軟性があります。例えば、チャット機能やリアルタイム投票を活用し、対面とオンライン両方の学生が参加しやすい環境を作ることが可能です。さらに、画面共有やデジタルホワイトボードを用いることで、教室で受けるのと変わりない、視覚的にわかりやすい説明が可能で、理解を深められます。

中央大学

画像引用元:中央大学「高大連携

中央大学理工学部は、小石川淑徳学園高等学校と高大連携の取り組みを締結しています。これは、中央大学が培ってきたコンピテンシーをベースとした学修プログラムの知見を開示し、教育交流を行うものです。高校だけでは実現されない高度な情報系学習が行われるため、高校段階からデジタル分野を支える人材育成が可能です。

コンピテンシーとは

コンピテンシーとは、社会で成功するために必要な行動、態度、思考の傾向や特徴を指します。具体例として、「積極性」や「継続性」などが挙げられ、これらの要素は、組織が自社の目標や求める人材像に合わせて設定するのが一般的です。中央大学では、「コミュニケーション力」「問題解決力」などを含む7カテゴリーの行動特性(コンピテンシー)を評価指標として採用しており、各指標にはレベル0からレベル5までの評価基準が設けられています。

参考:中央大学「コンピテンシーについて

これにより、小石川淑徳学園高等学校は文部科学省が取り組む高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)に採択されました。DXハイスクールとは、情報や数学などの教育カリキュラムを実施し、ICTを活用した文理横断的な学びを強化する学校などに必要な環境整備の経費を国が支援する制度を指します。これを機に、当大学がコンピテンシー育成教育を核とする高大連携のさらなる強化・発展が期待できます。

立命館大学

立命館大学総合心理学部は、遠隔授業でも臨場感のあるコミュニケーション体験が行えるMUSVI(ムスビ)株式会社のテレプレゼンスシステム「」を2024年の3月25日から導入しています。窓は、大画面で相手の様子を明確に写し、低遅延音声により、その場に一緒にいるような環境を作り出します。立命館大学では、窓を使い、リアルタイムの双方向通信を可能とするビデオコミュニケーションツールを用いたオンライン教育の機会を増やす予定です。特に、高大連携においては、これまで物理的・金銭的に繋がれなかった地域と連携する可能性が広がります。

現在、立命館大学内の学生が集うコモンズスペースに窓を常設し、遠隔地の高校や小・中学校、商業施設、公共施設などと連携し、同学部の特色を生かした教育や研究に活用していくことが決められています。実際に、2019年より探求学習を合同で進めていた隠岐高等学校と「窓を使ってどんな交流をすればワクワクする?」をテーマにワークショップを開催し、距離を超えた臨場感のある交流が実施されました。

大学DXにはRESERVA

画像引用元:RESERVA公式サイト

はじめてDXを導入する人も、DX導入経験のある人にも、おすすめできる予約システムとして、RESERVA(レゼルバ)を紹介します。

RESERVAは、28万社以上が利用する業界トップクラスの予約管理システムです。350以上の業種に対応しており、国公立大学、私立大学など多くの現場でも広く導入されています。このシステムの特徴は、無料プランから始められる手軽さにあります。また、サービス提供(スタッフあり・なし)、施設、宿泊施設、スクール・アクティビティ、イベント・セミナーといった6つの予約タイプに対応し、高大連携のあらゆるプロジェクトに最適な形で利用できます​​​​。

RESERVAは他のサービスとの連携が充実しています。ビデオチャットツールZoom(ズーム)と連携すれば、高大連携授業の予約だけでなく授業配信URLの配信も自動で行えるため、連携授業における手続きの簡略化が可能です。

予約システムの導入におすすめのRESERVAの詳細はこちらをご覧ください。

まとめ

今回は、高大連携におけるDX化の重要性、成功に向けた具体的なステップと戦略を探りました。高大連携のDX化は、教育界における急速な変化と進歩に対応するための重要なステップです。高校、大学にそれぞれメリットがある高大連携をDX化することで、効率的で高校生が参加しやすい授業が実現されます。

RESERVA.acでは、大学のDX化に関する記事を今後も取り上げていきます。

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